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第4回茶話茶話会「備前焼について」レポート

By admin, 2016/03/19

3月12日から開催していた備前焼・森本良信作品展、にあわせまして第4回茶話茶話会「備前焼について」、が開催されました。

 

講師はもちろん森本さんです。

森本さんの作品だけでなく、持ってきてくださった様々な陶片や、弊店のお品も合わせて皆さんにご覧いただき、たくさんの質問を交えながら和やかな雰囲気の会となりました。後半には盃とお酒の関係を体感していただく為、二つの盃でお酒を飲み比べするワークショップも行いました。こちらも大変盛り上がりました。

 

今回も一部ではありますがその模様をレポートいたします。

 

まずは備前焼の基本的な特徴を教えていただきました。

備前焼は岡山県備前市周辺で焼かれている無釉薬締めの焼物です。

「備前焼」というと六古窯の一つであり、昔からの形を頑に守ってきているイメージがありますが、意外にも備前焼はその時代、時代にあわせて柔軟に対応してきたというお話には驚きました。

例えば鎌倉時代は武士の時代なので、古備前の壷にも荒々しさが反映されていたり、室町時代には雅な京の文化が反映されて、すこし口づくりなどが上品になる、と図録の写真を踏まえて教えて頂きました。皆さんも展覧会などでは是非時代ごとに見比べてみてはいかがでしょうか。

また、江戸末から彩色備前というものが作られ始めましたが、これは備前のような土ものの焼物の人気が落ちてきた際に考案されたそうです。

 

備前といえば様々な景色も魅力の一つですが、それぞれについても実物を見ながら教えていただきました。

いくつか例を出すと、「ゴマ」というのは焼成中に灰が降り掛かって、それが高い熱で釉薬と化したものです。胡麻をふりかけたようにみえるのでこの名前で呼ばれます。

「緋襷」というのは藁を巻き付けて、サヤに入れて焼きますがその時に藁が巻かれていた部分が赤く、襷のような跡を残しているので緋襷と呼ばれます。

他にも桃山後期から焼かれている「伊部手」は、何度も焼く事で地肌を黒く、固くし、流れゴマなどをつけた手のことです。まだあまり研究が進んでいない分野だそうですが、当時は唐物の古銅や鉄器の需要が高まった為、それを備前で表現した結果ではなないかと言われています。ここにも時代にあわせた作陶意識が表れていますね。

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(森本さんから持ってきていただいた色々な陶片も見せてもらいました)

 

森本さんの制作についてももちろんお聞きしました。

 

まず、制作の前には「昔の備前はこうであった」という過去、「今の作家はこういう備前を焼いている」という現在、「これからはどうするべきか」という未来、をきちんと意識して制作にあたっているそうです。

また「制作の前には見る技術が必要」というお話もいただきました。

美術館に並ぶような古備前はいつでも触ることができるわけではありません。なので見ただけでいいものを正確に読み取る力が必要になります。森本さんはお品を見ながら窯の中で何が起こっていた結果なのか、陶工の意図は…など頭で思い描くそうです。

これらを聞いて、きっとこの意識によって古くからの備前の魅力も踏襲したお品が出来ているのではないかと思いました。

 

これからの課題について

現代はなんでもデザインを重視される傾向にありますが、焼物に関してはデザインに走ると質感がおろそかになってしまう可能性があるので質感を課題にしてゆきたいとのこと。また古備前の質感と現代の備前の質感は違うそうです。古備前はより硬質だそうで、その硬質さを求めて森本さんは山の土を掘りに行って作陶を行っているとのことでした。

 

森本さんの穴窯の様子についても図解していただきました。

ちなみに穴窯は森本さん自身で作られたそうで、全長7m程とのことでした。

焼成は7〜10日間かけて24時間3交代制で火を見るそうです。もちろん焼き上がって全てが販売品となる訳ではありません。

今回の作品展には200点程焼いたうちの60点程がお店にやってきました。

このお話を受けてお客様の、「ご縁があって金沢にやってきたんですね」という一言が石黒商店としても大変嬉しく感じました。

そして最後に、備前焼は作家の内面の意思だけでなく、土や火など、外部からの要因も制作に関わってくるというお話をなさっていました。それとつき合ってゆくには体力勝負なところもあるのでまずは健康であることが大事だ、と締められたのが大変印象的でした。


さて、後半はワークショップを行いました。

日本酒は多種多様なお酒が醸されていますが、その「お酒に合わせた器」というものはあまりはっきり意識されている方は少ないのではないでしょうか。

森本さんは「備前の器は酒が美味い」と言われているのであれば、その酒を充分に生かす器の形を研究し、酒と酒器の文化をさらに高める事が重要だと考えられ、今回のワークショップ開催の運びとなりました。

 

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(前に二つ盃を並べて準備をしています)

 

今回は石川県の酒造の吟醸酒と純米酒を森本さんの作られた備前の筒盃と平盃の二種類の盃でそれぞれ飲み比べました。

繊細な香りや味わいの吟醸酒は筒盃だと香りが立ってしっかりと感じる事ができ、平盃だと水のようにすっと入って後から味わいを感じられました。

純米酒は香りのしっかりとしたものが多いので平盃の方が濃厚さやふくみ香を楽しむのに良いのではないかという話になりました。

このように好みや個人差はありますが、器によって明らかに感じ方に違いがでることを参加された皆さんにも実感して頂けたように思います。

味わいの違いを意識すると器を選ぶ楽しみがさらに広がりますね。

 

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(和気あいあいとお酒と盃を楽しんでいただきました)

森本さんには大変多岐にわたるをお話いただき、お客様には五感もフル活用していただき、大変濃い1時間半でした。

石黒商店としてもお酒のワークショップは初の試みでしたので、またこういった事もチャレンジしてみたいと思っております。

森本さん、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。