三島下敷

2020年06月20日

今年は梅雨らしい梅雨が来ないのかと先週は思っておりましたが、雨が増えてきましたし予報ではこれからが本番のようですね。

「弁当忘れても、傘忘れるな」をより意識させられる季節です。

本日は小服茶碗を紹介いたします。

三島下敷(李朝)

幅 12.5㎝

高さ 4.4㎝

小振りな三島手の茶碗です。

「三島」とは、「暦手」と呼ばれるものもあるように、伊豆の三島大社が刷る三島暦の細かな文字と茶碗の印刻文様の趣とが似ていることや、古来日本では朝鮮半島のことを三島と呼んでいたことが、その名称の由来とされています。

元は高麗時代の象嵌青磁の流れから生まれた李朝頃の民族的なやきもので、一般的に端が反った形のものが多いようです。

本品も端反りで見込が浅く、内側が削り込まれた小さ目の高台など、三島らしい形状をしています。

見込は中心に渦文、その周りに暦文が施され、側面は内外共に箆を走らせた後に刷毛で白土をまわして帯文を出しています。

大きく金継ぎがされており、そこには青海波が丁寧に描かれています。

茶箱の重ね茶碗で下にくるものを「下敷」と呼ぶこともあるようです。

小振りで平らな形のため、この茶碗は箱書にそう書かれたものと思われます。

形も金継ぎの文様も夏向きの茶碗です。

大きめの盃としてお酒を張っても涼し気で良いのではないでしょうか。