伊万里南天紋猪口

2021年12月17日

 

金沢での「KOGEI Art Fair Kanazawa 2021」、東京での「東美歳末正札会」では多くのお客様にご来場いただき誠にありがとうございました。

年内の催事は無事に終了しましたが、なんだか年末は忙しないですね。

12月13日の正月事始めもすぎ、いよいよ大掃除や新年を迎えるための準備も進めて行かねばなりませんね。

さて、今回はお正月などこれからの時期に向いたお品をご紹介いたします。

 

伊万里南天紋猪口(明治〜大正)

口径 9.3cm

底径 4.8cm

高さ 7.0cm

 

 

 

錦手の華やかながらも上品な猪口です。

猪口というと、日本酒を飲むときに使われる見込みに蛇目の「ちょこ」や蕎麦猪口を思い浮かべる方も多くいらっしゃるかと思います。

このタイプの猪口(ちょく)は本膳料理に使用されるもので酢の物や肴など少量の料理を盛るのに使われます。大きさによっては向付のような使い方もされるようです。

 

お品を見てみますと白い余白と薄紅の錦雲がが品よく華やかさを演出し、赤い実をつけた南天が伸びやかに描かれ、染付が全体を引き締めています。

南天は晩秋から今頃に赤い実をつけ、生葉をお赤飯の上に置いたりと正月やおめでたい時によくみられます。

時期の他にも、ナンテンの音から「難を転ずる」と縁起の良い植物とされ、江戸時代には火災よけとして玄関先によく植えられていました。赤い色にも縁起がよく厄除けの力があるとされ、現在では鬼門である南西の方角に植えられている家も多くありますね。

 

 

見込みには厳しい顔の三ツ爪の龍が目を光らせ、側面の文様を見てみると天狗の羽団扇や窓には藤の絵のような文様が描かれています。

南天と合わせて厄除けの意味合いの強いお品であると伺えます。

おめでたい文様には、宝尽くしや吉祥紋などの子孫繁栄や延命長寿など幸せを願う文様と厄除けなど災いを遠ざける文様がありますね。

お正月を迎える準備にいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

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