御深井焼 安南写小皿
2017年05月13日
暑い日が続きましたが先日からやっと恵みの雨が降り、しっとりとした空気になってきました。
白鳥路の杜若も見頃を迎えています。
本日は目にも涼しい安南染付写の小皿をご紹介致します。
御深井焼 安南写小皿 <昭和>
口径 9.5cm
底径 4.0cm
高さ 2.8cm
御深井(おふけ)焼とは尾張徳川家の御庭焼のひとつで、名古屋城の外郭御深井丸に江戸前期に築窯され、一時的に中断しましたが再興し明治3年頃まで続いた焼物です。
赤津の陶工たちを使役し、城内の日用品から茶器、仏像にいたるまで多種多様に焼かれました。
釉薬には「御留め薬」と称する卯の斑釉や・灰釉・灰青磁釉などが用いられ、それらに呉須を併用した作品が多く残されています。
このお品は戦後の作で、印や箱書もありませんが仕入れの状況からおそらく数寄者が焼かせたものの一部ではないかと思われます。
側面には安南風の絵が描かれ、見込には二重線の中に「壽」の字が描かれています。
線がぼやけて流れているものもありおおらかな印象を受け、艶のある御深井釉が雨に濡れた葉のようにも見え涼を感じますね。