砂張舟形花入

2017年06月03日

 

本日は百万石まつりのメイン行事の一つ、百万石行列で金沢は賑わいをみせています。

明日は百万石茶会の二日目が行われます。市内七か所で釜がかかっていますので、この機会に茶の湯に触れてはいかがでしょうか。

また、兼六園では「初夏の段」として夜間無料開放が行われています。本日の19時からは園内の霞が池に舟を浮かべ、横笛奏者の演奏もあるそうです。

さて、本日は池ではなく、空に浮かぶ舟形の釣花生をご紹介いたします。

 

砂張舟形花入 18~19世紀

横幅 28cm

高さ 15cm

 

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舟形の名のとおり三日月のように美しく湾曲した形で、外側の縁に一本線が巡っています。

釣舟の花入はもともと南方の国々において、皿型をした食器を花入に見立て、鎖で釣り賞玩するようになったのが始まりとされています。

こちらのお品も制作されたれた国はわかりませんが、おそらく東南アジアからもたらされたものであると考えられます。

釣舟の花入は竹や焼物など材質はさまざまで、花入の前後がわかる場合は特に生ける技法や釣り加減などに多くの決まりごとがあります。

 

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花を生けやすく支える道具が中に据えられていますが、これは花配(はなくばり)または花留(はなどめ)ともいいます。このお品の花配も丸い穴がたくさん開いており、いくつかには支えやすいように柱がついています。

 

砂張(さはり)とは銅と錫を主成分に亜鉛銀、鉛を少量含ませた銅合金の一種です。

古く中国・朝鮮・東南アジア・中近東で広く用いられ伝来しました。日本では奈良時代にこの合金の食器が伝わっており、正倉院宝庫に多数の食器や僧具が納められています。

安土桃山時代以後、茶道の世界で砂張のものが花入・水指・建水などに見立てられ用いられるようになりました。

 

錫の含量がおおいほど表面がガラス張りのように透明となり、その奥に無数の星が瞬くように光ります。

古いものは黄白色のものが多く、現在は鉛白色のものが多く見られます。

こちらのお品の色は黄土色に近い色ですが光の加減で色味が違って見えるのがまた面白いです。

 

砂張のひんやりとした質感は空間の温度を下げてくれるような気がしますね。

 

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