時代燗鍋
2017年06月24日
梅雨入りしたものの、晴れの日が続いて毎日暑いですね。
この時期は湿度が高く、意外に思われるかもしれませんが熱中症になりやすいのでお気をつけくださいね。
さて、今回は初夏に青々と葉を広げる芭蕉の地紋の燗鍋をご紹介いたします。
時代燗鍋
胴幅 9cm×9cm
(注ぎ口を入れると幅14cm)
高さ 15cm
このお品は胴が四方で、燗鍋としては少し小ぶりなものです。
燗鍋とは酒器の一種でその名の通り酒を温める鍋です。現在では冷や燗、関係なく酒注として使うことが多いように思います。
日常の雑器であった釜が茶人によって茶湯釜に見立てられ、さらに酒器(燗鍋)へと形が整い、江戸の頃から懐石道具としても使われるようになりました。この為か釜師作の燗鍋も喜ばれます。
このお品は蓋が一枚だけですが、茶入の仕服のように一つの燗鍋に対して材の違う蓋を何枚も揃えたものもみられます。
蓋が何枚もあるのは席中に二度、三度とお客様にすすめるときに目先を変えるためで、替の蓋は染付・祥瑞・赤絵・楽焼などが好まれます。
また、蓋と身の年代が違うものも多く、古い香合の蓋に合わせて身を作らせたものや、身に合わせて見込の綺麗な染付の皿などを蓋に作りなおされたものもあります。
こちらのお品は蓋に秋草の蒔絵がされており、かせ具合や状態から海外から戻ってきたものではないかと思われます。
身は明治くらいに作られたもので落款はあるものの詳しくは分かりませんが、地紋に初夏の季語でもある青芭蕉と玉巻く芭蕉が表されており力強い印象を受けます。
燗をつけた酒でももちろん楽しめますが、この時期は少し冷やしてガラスのグラスと合わせて涼を感じてはいかがでしょうか。