青海形根来塗丸盆
2018年02月10日
今週の北陸は大雪に見舞われ、連日雪かきにおわれました。
幸いお店は何事もありませんでしたが営業中にもかかわらずショーウィンドウを閉めざるを得ない状況になり、ご迷惑をおかけしました。
気温が高くなるにつれ屋根などからの落雪や、つるつると凍った足元にご注意くださいませ。
さて、本日は根来塗の丸盆をご紹介いたします。
青海形根来塗丸盆(江戸末期~明治)
直径 26.5cm
底径 17.5cm
高さ 3.0cm
挽物ですこし厚めに作られた丸盆ですが、手にとると意外に軽いことに驚きます。
高台は無く刳り底になっているので安定感がありますね。
根来塗とはおおまかに、神饌具・仏具・飲食器などの器物に黒漆の下地をして朱漆を塗ったものをいいます。
根来塗という呼称は紀州根来寺に由来し、根来寺とその近辺で朱漆塗を生産したという記録が数例みられます。根来寺で漆器が製作されたとされるのが正応年間(1288−)以降、天正13年(1585)に焼失するまでの間ということになりますが、根来寺に関する銘を持つものは意外に少ないそうです。
根来山内で製作された漆器が根来塗あるいは根来ものと称されていましたが、後世その名声が大いに広まったためか、他産地の同様の漆器をも含め朱漆塗のものを指してすべて根来塗と称する傾向が生じたようです。(彫根来、絵根来、黒根来などと呼ばれるものもあります)
こちらのお品は状態が良いので古く見えにくいのですが江戸末期から明治頃につくられたものではないかと思われます。
写真では伝わりづらいのですが裏底に塗られている黒漆が歳月を経て羊羹色になっています。
もともと十枚一組で古い箱に入っているこちらのお品、以前はお茶会などで活躍したのでしょうか。
お茶会では菓子盆として、お食事やティータイムには銘々盆、また晩酌のお供にと様々な場面でそっと色を添えてくれそうです。
ほかのお品との取り合わせもしやすいため、どんな道具とあわせてどのように使われていたのか思いを馳せるのも良い晩酌の肴になりそうですね。