初代八十吉 古九谷写瓢形徳利
2019年01月12日
先週、寒の入りとなり、いよいよ本格的に寒さが厳しくなる季節となります。
今年は降雪が少ないので幾分過ごしやすいですが、身体を冷やさぬよう気を付けたいですね。
さて、今回は初代八十吉作の古九谷写瓢形徳利をご紹介いたします。
初代八十吉 古九谷写瓢形徳利
高さ 18cm
胴径 8.3cm
底径 5cm
初代徳田八十吉 略歴
明治6年(1873)~昭和31年(1956)
小松市の染屋「亀屋」の長男として生まれる。
初め日本画家を志し、狩野深令や山本永暉に学ぶ。
その後、九谷窯松雲堂の松本左平の下につき、九谷の絵付けを習得。
大正10年頃から本名「八十吉」となる。
古九谷や吉田屋、粟生屋における釉薬の研究を行い、独自の釉薬を生み出した。
徒弟には浅倉五十吉、太田喜一、松本佐吉など、多くの作家を輩出した。
今日では「八十吉」と聞くと、鮮やかなグラデーションの彩釉が有名ですが、初代は古い九谷焼の釉薬について深く研究した職人でした。
こちらの徳利も、箱書きに「古九谷欽慕」と記載されており、古九谷の写しであることが分かります。
試しに古九谷の図録などを見ると、似たような図様を用いている瓢形徳利も散見されます。
財団法人出光美術館『古九谷』平成16年9月10日発行 より
完全に同手のものは図録から見つかりませんでしたが、八十吉がさまざまな古九谷の図様を複合して描いたのでしょうか。
それとも、個人的に所有していたものを写したのでしょうか。
想像がふくらみます。
底には「九谷八十吉」と銘が入っています。
一般的に、「八」の字が下の「十吉」に大きく掛かってるものが初代の銘の特徴とされるそうです。
赤絵を基調とした華やかな徳利。
九谷の歴史やその文様に思いを馳せながら晩酌などいかがでしょうか。