中村梅山 能絵変り猪口

2019年03月23日

先日、春分の日を迎えましたね。

金沢も最高気温が10℃を上回るのが常となってまいりました。

今年の桜の開花時期は4月初め頃だそうです。

早咲きの桜を時々目にしては満開を楽しみにしています。

さて今回は「能」を画題とした金沢ならではの猪口をご紹介いたします。

 

中村梅山 能絵変り猪口

直径 9.2cm

高台 3.8cm

高さ 5.9cm

 

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それぞれ能の留守模様が描かれた10客1組の猪口です。

「翁」・「百萬」・「花月」・「羽衣」・「桜川」と春の曲を画題としているものが5客、「烏帽子折」・「和布刈」・「紅葉狩」・「黒塚」・「熊坂」と秋の曲を画題としているものが5客となっています。

器の側面に留守模様を色絵で、見込みには七宝と獅子が金彩赤絵で描かれています。

留守模様は能の演目ごとに用いられる小道具が表されており、分かる方には分かる数寄者好みな絵付けとなっています。

獅子は全て同じように描かれてはいますが、手描きのものですからよく見ると目の表情などが一つ一つわずかに異なり、比べてみると面白いです。

 

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また、器自体も光が透けるほどの薄作りとなっており、手取りがとても軽いです。

猪口と書かれてはいますが、小さな向付けとしてお料理を乗せて使用するのもよさそうです。

 

藩政期には「空から謡が降ってくる」とまで言われ、現在でも加賀宝生が有名な金沢にちなんだ、とても金沢らしい器です。

食事の際の話題づくりに活用したり、それぞれの物語に思いを馳せながらお使いになるのはいかがでしょうか。

 

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