九谷鶏文小皿
2019年05月11日
先週の「若筍の会」では多くの方にご来場いただきまして、誠に有難うございました。
晴天の日が比較的多かったように思いますが、皆さま充実したゴールデンウィークを過ごせましたでしょうか。
また、ここ数日も金沢にしては珍しく、晴天続きですね。
仕事中に近くの金沢城公園を散歩したい気持ちに駆られます。
さて、本日はシンプルな絵付けの九谷焼の小皿を紹介いたします。
九谷鶏文小皿(大正ー昭和)
直径 12.7cm
高さ 2.1cm
底径 6.5cm
周囲に押し型で唐草文が表され、見込みには鶏の親子が絵付けされた小皿です。
子鶏は赤絵と金彩で描かれています。
親鶏は赤絵と鉄釉でしょうか、光にかざすと燻し銀のような光沢があります。
背景は薄く引いた青で地面が描かれています。
皿の裏側には「九谷前川」と銘があります。
当時の九谷焼で「前川」というと前川湖月堂(明治30年(1897)~?)が最も有名です。
前川湖月堂は初代前川亀吉が現在の金沢市広坂通に開店したのが始まりで、県内外の観光客に九谷焼の装飾品や食器類を小売していました。
素地を利岡光仙窯から仕入れ、ほかの作家に絵付けしてもらったものを販売していたようです。(二羽弥『九谷焼330年』1986年より)
恐らくこのお品もこちらの作ですが、ほかにも「前川」と名の付く工人は何人かいたようですし、前川湖月堂の当時の銘を確認できる資料も少ないため断言はできません。
それにしても、このような洗練されたデザインの九谷焼は当時にしては珍しいのではないでしょうか。
簡略化されて描かれた鶏の親子も可愛らしいです。
この親子がどういう場面なのか想像しながら使うのも楽しいですね。