浅蔵五十吉 陶板腰風炉先屏風

2019年09月14日

 

昨日は中秋の名月、夜まで晴れていたので金沢では小さくとも美しい月を眺めることができました。

残暑が厳しい9月でしたがここ数日から秋めいてきましたね。

さて、本日は夏の終わりから秋のはじめ頃にぴったりの風炉先をご紹介いたします。

 

 

浅蔵五十吉陶板腰風炉先屏風

 

横(片面) 86.0cm

高さ    54.5cm

 

 

杉の柾目の綺麗な木地の腰風炉先で、九谷焼の陶板が埋め込まれています。

風炉先とは茶道具の広間で使う道具のひとつで、畳の向こう側を囲う二枚折屏風のことをいいます。

 

埋め込まれている陶板は浅蔵五十吉の作です。

浅蔵五十吉(1913年〜1998年)は石川県の能美郡寺井町生まれ、本名は浅蔵与作といいます。

小学校卒業後、父磯吉から陶芸一般を習得し、のちに初代徳田八十吉、北出塔次郎に師事しました。

昭和21年日展初入選、以来入選を重ね、昭和52年内閣総理大臣賞受賞、昭和59年九谷陶芸初の芸術院会員、平成4年文化功労者となり、平成8年に文化勲章を受章しました。

従来からの釉薬に一層の工夫を重ね、「浅蔵カラー」と呼ばれる独特の深くて渋い色絵の世界を確立し、現代感覚を生かした現代九谷焼の世界を作り上げたことで知られています。

晩年はプラチナを使った気品溢れる作品を発表しました。

 

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陶板の図は深い黄色の地で左から、柘榴・秋茄子・無花果と丁度この時期の実りの食物が描かれています。

この時期は、街を歩くと意外にも柘榴の実が成っているのを見ることができます。

街を歩きながら秋を探すのもまた楽しいですね。

さて、今夜は満月。欠けたところのない満月は豊穣の象徴として秋の作物を供え古来よりお月見が行われてきました。

美しい月を眺めながら秋の実りを願い月見の茶会などいかがでしょうか。

 

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