納賀花山 百合向付
2024年06月24日
北陸地方もやっと梅雨入りしたようで雨の季節となりました。今年の梅雨は短期集中型のようで、大雨への警戒が必要そうですね。
さて、今回はこれから見頃を迎えるであろう百合の形をした向付をご紹介します。
納賀花山 百合向付 11客
幅15cm 底径7cm 高さ4.5cm
昭和
【納賀花山 (初代)のうが かざん】1887(明治20)〜1959(昭和34)
陶工。富山県石動生まれ。本名富治。明治38年金沢に出て片町に九谷焼販売店「花山堂」を開く。その後趣味として陶磁器を作り始める。昭和11年鶯谷窯を譲り受け繰業、花山堂の商品も製した。茶道は宗和流11世安達宗香に学ぶ。号石動庵。生花をよくした。(『石川・富山の近代茶道-入札会と数寄者-』金沢美術青年会 平成17年)
商売人でもあり、その傍ら作陶もしていた人物です。
【納賀花山(二代)】?~?
初代の息子。陶芸家。県立工業高校卒業。石黒宗麿に師事。のちに父花山とともに製陶を行い、父没後は花山堂を閉じ作陶に専念した。号琢陶庵。(『石川・富山の近代茶道-入札会と数寄者-』金沢美術青年会 平成17年)
今回の作品はどちらが作ったのかはっきりしませんが、昭和三十一年造とありますし、字の感じからも二代の作ではないかと思われます。
箱の蓋表には「萩釉 百合向鉢」、裏に「春日山の土を以て卯辰山鶯谷にて之造る」と記されており、
赤っぽく粗い土は春日山(現在の金沢市山ノ上町)から、印象的な水色は萩釉をかけて仕上げたようですね。
高台裏は土見せで施釉の際の指の跡、釉薬の垂れが景色が味わい深いです。
表に返してみると、底にろくろ目、上に向かって6つ花びらが開くように広がり、口部分を縁取るように土の色が見えているのも効いていますね。
全体はどっしりと厚みがあり安定感があります。
酢の物を盛ってみましたがよく映えます。
梅雨のだるさも少し晴れるような器です。