ひな道具 桑桐透枠火鉢
2015年05月16日
ひな道具 桑桐透枠火鉢 太平造 (明治〜大正か)
<火鉢>
直径 4.5cm 高さ 3cm
<枠>
縦 6cm 横 6cm 高さ 4.5cm
今回ご紹介するお品は小さなかわいらしい箱火鉢です。
桑の木枠正面は桐の透かし彫り、側面下部にもスリット状の透かしが入っており、また堅木で縁取りされて小さいながらも丁寧に作られています。
火鉢の高台には「太平造」の銘があります。
太平は今戸焼の窯のひとつのようです。今戸焼とは江戸の今戸村で焼成された日用雑器窯で、作品の多くは焙烙・火消壺・炬燵火入・小皿などのほか、伏見人形にも似た土人形もつくりました。この人形は今戸焼人形として民間にもてはやされました。
広い意味で墨田川焼とも呼ばれます。
またこの雲のような柔らかな文様の焼物を雲華焼といい、風炉・灰器・香炉など茶道具の器表に火変わりによって白茶地に黒斑の斑文が現れているものを呼びます。今戸焼や赤穂焼などに多く表れています。
このお品、全体はメタリックな黒色ですが雲のように柔らかい緑の景色が見えることで涼しげですが優しい印象を受けます。
火鉢のこの緑色は白い部分に色をつけたもののようです。
内側には釉薬がかかっていないので触ってみるとざらざらします。
実際に灰を入れてミニチュアの火鉢として遊んでみました。
小物入れや香立て、キャンドルホルダーとしても活用できそうです。どうやって使おうか考えるのが楽しくなる、そんなお品です。