中田雄一 青秞水指

2021年01月23日

ふわふわの粉雪が降り、路面がカチカチに凍り、この二週間ほどで冬の景色を一通り体験した心持ちがいたします。

今回は、7月よりお待たせしておりました、中田雄一さんの青秞水指の次第が整いましたので、改めてご紹介いたします。

青秞のものは「金沢市デジタル工芸展」のお茶会においても用いましたので、ご覧になられた方も多いのではないでしょうか。

そもそも阿蘭陀焼とは、江戸時代にヨーロッパより舶来した陶磁器のことを指します。

母国では莨壺や薬瓶として使われていたものが、日本では水指や香合などに見立てて使われ、異国風な材質や技法が他の道具と被らず存在感があるため茶道具として大変喜ばれました。

その中でも青秞のものは、日本には数点しか残っていない貴重なものとなります。

青秞阿蘭陀が制作されたのは白釉のものと同じ、17世紀末〜18世紀初めとされ、ベネチアの青秞陶の影響で作られるようになったものですが、ヨーロッパでも数は少ないようです。

従って、青秞水指の制作を依頼した時から「実物を見ることができない」ということがネックとなっておりました。

当初は図録や弊社社長の記憶を元に制作しておりましたが、それにも限界を感じていた折、見せていただく機会を幸いにも得られたことで、青秞水指の完成に近付くことができました。

その後、中田さんにも試作品をたくさん作っていただき、生まれたのが今回の水指となります。

青秞阿蘭陀のもったりとした厚い釉薬と柔らかな青がよく再現されています。

只今お店に展示しておりますが、塗りの板の上でよく映えて見えます。

お店に出ているのは1点のみですが、他の種類もご覧になれます。

気になる方はお気軽にお声がけください。