野口健作品
2015年06月13日
優しさを感じるなだらかな曲線に重なり深みを増す黒。
今日は独特の表情を感じさせてくれる漆の作家さんをご紹介いたします。
<野口健>
1982年 大阪生まれ
2008年 金沢美術工芸大学工芸学部工芸学科卒業
2009年 工芸都市高岡クラフト展 グランプリ
2010年 同大学大学院美術工芸研究科卒業
2012年 伊丹国際クラフト展「酒器・酒盃台」奨励賞
2013年 金沢卯辰山工芸工房修了
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漆の魅力には多様性があると思っています。金や螺鈿などを用いた蒔絵などの技法は、華やかな魅力があります。
対して、古くは根来など、漆そのものの持つ重厚さや塗り物の持つ艶やかな魅力もあります。私も作品を制作していくにあたり、漆と紐を用いて作り出す形や表情を通して、漆の深みや重なりの魅力を伝えることができればと考えて制作しています。
作者より
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野口さんは「東京アートフェア2015」で作品を出品していただいた作家さんです。
フェアでは大きめの乾漆縄胎のオブジェを置かせていただきましたが、店頭では酒器をメインに置かせていただくことになりました。
重厚で味わいのある漆の酒器たち。
乾漆でできたボディに縄(紐)を巻きつけてつくられており、その紋様が魅力的なお品です。
根来のものが多いので使っていくうちに表情がかわるのも楽しみの一つになりそうです。
猪口型の酒器はボディラインの独特のゆがみにより角度により印象が変わって見えます。
裏返すと麻布の目が見えます。
巻く紐の種類や塗りの技法により薄口のものもあれば落ち着いた口当たりのものもあります。
手取りも軽く使うごとに手に馴染んでゆく、そんなお品です。