梶原緋佐子 立雛幅

2016年02月06日

節分の豆まきを終えると次は桃の節句がやってきますね。

桃の節句は女の子のすこやかな成長を祈っての行事であることは皆さんご存知のことと思います。ただ、その起こりは桃の力で穢れを祓う中国の三月上巳(じょうし)の行事や、人形に穢れを移して流す「人形送り」、さらに貴族の子女の人形遊びなど様々な所にあり、それらが結びついて今に続いています。

今回はそんな桃の節句に向けて、立雛のお軸をご紹介いたします。

_MG_0599

_MG_0574

 

お雛様といえば豪勢な段飾りで、「立雛は少し物足りない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。ですが実は初期の雛人形は立雛の姿でした。それはお雛様が元々「ひとがた」や「かたしろ」と呼ばれる身代わりの、立ち姿の紙人形から出来たことが関係しています。ここから立雛は紙雛とも言われます。

 

さて、このお軸も典型的な立雛を描いており、表装も落ち着いていて大変掛けやすいお品です。揃いの着物の赤と緑青、そして襟の空色がとてもさわやかです。

_MG_0606

 

作者は京都の日本画家、梶原緋佐子(1896~1988)です。繊細で凛とした人物画で知られる菊池契月に師事し、官展を中心に活躍しました。梶原も人物を得意とし、芸妓や舞妓の美人画を多く残しています。

 

豪勢な雛人形も見ごたえがありますが、お軸でお雛様を飾ってみるのもいかがでしょうか。

床の間にお花と共に飾れば、シンプルで品のある大人の雛飾りになりますよ。