伊万里 四君子文向付
2017年09月09日
本日は9月9日、重陽の節句です。菊の節句とも言われます。
五節句のうちのひとつである重陽は、日本では平安時代頃から催しが行われるようになり、江戸時代には菊を愛でたり菊酒を飲んだりして長寿を願うことが一般的だったようです。
また「菊の着せ綿」という習慣もありました。これは9月8日に菊に真綿を被せて、9日の朝に露と菊の香りをほのかに含んだ綿で肌を拭うことで長寿を願うというものです。最近はあまり見られない習慣ですが、和菓子などでその様子を見ることができます。
文面でみるだけでも雅で美しい行事であったことが伺えますね。
そんな菊の節句にちなんで本日は菊が描かれた器をご紹介いたします。
伊万里 四君子文向付(明治時代)
口径 8.5cm
底径 4.5cm
高さ 6.7cm
四君子文向付と書いていますが実際は絢爛豪華な菊が半分以上を占める、秋にぴったりな器です。
ちなみに四君子とは蘭、竹、菊、梅のことを指し、それぞれの高潔な美しさから君子に例えられ、こう呼ばれています。
描かれている菊をそれぞれ見てみると、花弁が多く大きな菊から、丸く意匠化された小さな菊まで4種類が確認できます。古くから日本で親しまれてきた古典的な菊を描いているのでしょうか。金とオレンジに近いような赤色の組合せが、より菊のボリュームを感じさせるような気がします。
もちろん四君子の文様なので、蘭や竹(笹)、梅も描かれています。虫も描かれているので是非探してみてくださいね。
見込みに描かれた龍の手足が馬のように太くしっかりしているのも可愛らしいところです。
たっぷりとした丸みのある形なのでコーヒーを入れても愉しめると思います。
秋の夜長にいかがでしょうか。