九谷桜文盃
2020年04月03日
金沢もそろそろ桜が満開になるのではないでしょうか。
気軽にお花見に行くことができないのは残念ですね。
そんな本日は、花見のできる盃をご紹介いたします。
九谷桜文盃(大正時代)
口径5.7㎝
高さ2.6㎝
「九谷鳳山造」と銘がある
桜が全体に散らされた春色の盃となります。
花弁を白抜きにした上に赤で輪郭と葉を描き、その上に金彩で描写を施し、白釉で花弁の輪郭をなぞることで、花弁を浮き立たせています。
見込みと側面にまたがるように大胆に雪輪文が配され、その中は月を思わせる白抜きと、黒地に青粒、金彩でシダのような唐草文が所々に施されています。
こちらの盃、地の色は桃色よりも少し暗く、灰桜色とでも言いましょうか、落ち着きがあります。
色使いの他、花弁の描き方や文様の配し方にも芸が感じられるお品です。
ところで、先に記した青粒とは「あおちぶ」と読みます。
九谷の伝統的な技法の一つとされるものですが、その成立について正確なことは分かっておらず、大正頃に技法として広まったというのが通説です。
2週間ほど前に店舗のお品替えの際に出した盃ですが、桜に雪輪で、偶然にも数日前の関東の様子と一致していたので面白く、ご紹介いたしました。
桜の切り花で花見をするということが流行っているそうですね。
不用意な外出は避けたい今、こうして器で春を楽しむのもいかがでしょうか。