伊万里紫陽花に鳥図猪口
2020年05月23日
沖縄はもう梅雨入りしているそうですね。
今年は全国的に梅雨入りが早いそうです。
また、気温も高くなるそうなので体調管理にはお気をつけください。
今回は少し早いですが梅雨にちなんだお品をご紹介いたします。
伊万里紫陽花に鳥図猪口
口径 4.6㎝
高さ 6.3㎝
苔むした奇石から伸びる紫陽花が描かれた猪口です。
正面に大きな花束が描かれ、器形に沿って左右に枝が広がり、その先にも小さな束が描かれています。
その枝の向こう、背面には抽象化された燕が2羽、余白を自由に飛んでいます。
膨らんだ胴の柔らかな形と相まって、伸び伸びとした雰囲気の可愛らしいお品です。
紫陽花の花弁のような部分が実は花弁ではなく、花の萼(がく)が大きく発達したもので、花はその中心にある小さな玉であることをご存知の方はいると思います。
そのように萼が発達して花弁のように見える花を装飾花と言うそうです。
咲き方には、「額咲き」という花の束を上から見たときに額縁のように周囲にだけ装飾花のあるものと、「手毬咲き」という全てが装飾花のもの、大きく分けるとこの2種類があります。
今日見られる紫陽花の原種とされるガクアジサイはその名の通り額咲きです。
本品に戻ってみますと紫陽花は手毬咲きですね。
こちらの方が画面上で映えるためでしょう、絵画に描かれている紫陽花の多くは手毬咲きとなっています。
ところで、紫陽花が絵画でよく描かれるようになったのは江戸時代からだそうです。
日本原産の花であり、奈良時代にはもうその名前が詠まれている花なだけに、意外ですね。
まだ不要不急の外出は避けたいとき、手元での紫陽花鑑賞はいかがでしょうか。