ギヤマン蓋物菓子入れ
2020年07月11日
ここ最近は雨が多いためか7月にしては気温も上がらず、蒸し蒸しとした感じがしなくて良いですね。
火曜日にも紫陽花の写真を載せましたが、雨空のグレーがかった雰囲気には花の色がよく映えて見えます。
本日はガラスの蓋物をご紹介いたします。
ギヤマン蓋物菓子入れ(19世紀)
口径 8.0㎝前後
高さ(蓋込) 10.0㎝前後
全体にカットが施され、蓋の摘みと身の口縁に金彩が施されています。
こちらは数物で、1客1客大きさが異なり、蓋と身には上下の正しい組み合わせが判るようにそれぞれ小さく記号が金彩で記されています。
なかなか上手く組み合わさらなかったのですが、中には「20」と書かれたものもあり、元々はそれくらいの数があったものと思われます。
摘みに唐草文様が回されているものもあり、可愛らしいです。
ところで、ガラスの器の呼び方として「びいどろ」と「ギヤマン」がありますが、その違いはご存知でしょうか。
「びいどろ」とは、ポルトガル語のガラスを意味する「vidro(ヴィーズロ)」が語源とされ、桃山〜江戸時代の和ガラスのことを指します。
一方「ギヤマン」とは、ポルトガル語でダイヤモンドを意味する「diamant(ジアマント)」が語源です。
和ガラスの「びいどろ」に対して舶来の西洋ガラス、「ギヤマン彫」を施されたものや堅牢な器に用いられた呼称で、化政期以降は日本で作られた無色で透明度の高いガラスや切子もそう呼ばれました。
本品は舶来のもので、サントリー美術館に同手の鉢が所蔵されています。
花弁形のカットがアイリッシュ・ガラスにおける典型的な文様の一つであるそうです。
サントリー美術館のものと比べるとこちらは小振りですが、お砂糖入れや、お菓子入れ、ちょっとしたお料理を盛るなど、使い道を想像するのが楽しい器です。