木村雨山 「海之幸」幅

2020年08月29日

暑い日が続きますね、皆様いかがお過ごしでしょうか。

昨日は通り雨がありましたが、空気が湿気と熱気に溢れていて、金沢の夏という感じがしました。

本日は夏のお軸をご紹介いたします。

木村雨山 「海の幸」幅

縦 119.4㎝

横 21.8㎝

木村雨山(1891年〜1977年)は、当店からほど近い橋場町の生まれで、本名は文二といいます。

高等小学校を卒業後、当時名人といわれた加賀友禅染色家の上村雲嶂に師事し、日本画を大西金陽に学びました。

大正12年に独立し、昭和3年第9回帝展に「リス文様壁掛」が初入選、以後帝展・日展・日本伝統工芸展などで活躍しました。

友禅の部で重要無形文化財技術保持者(人間国宝)となり、紫綬褒章や勲三等瑞宝賞も受賞しています。

父伊三郎は米穀商でしたが、藩政期には前田家お抱えの書家で藩札を書いており、雨山も小学校時代から図画の成績が特に良かったそうです。

兄の木村杏園(1885年〜1957年)、妹の島田貞葩(1903年〜1924年)は共に日本画家であり、筆の扱いに長けた一家だったようです。

本品は絹本ではなく紙本に描かれたお軸となります。

画面上部に大きな余白を取り、下方にイカと葉大根のような菜が水墨画的に描かれています。

軸装は灰味がかった色調で、珍しく一本風体です。

画題のひょろりとした雰囲気と軸装がよく合っています。

食材が二種描かれていると、まな板の上の景色にも見えてきて、どうしても献立を予想してしまいます。

皆様はこの食材からどんな料理を想像されるでしょうか。

料理の席に掛けると面白くなりそうなお軸です。