大聖寺伊万里 錦手粟鶉図小皿

2020年09月19日

秋雨でひんやりしっとりと秋の雰囲気ですね。

弊店は日・祝が休業日となりますので、この連休中はお間違えのないようご注意くださいませ。

本日は秋向きの小皿をご紹介いたします。

大聖寺伊万里 錦手粟鶉図小皿

直径 10.5㎝

高さ 2.4㎝

見込は白地に染付と金彩を主とした絵付けで、中心に渦状の葉紋とそれを囲む小花紋、周囲は丸紋に松の子、粟穂と2羽の鶉が描かれています。

背面は染付と色絵で花丸紋と唐草、高台内に縁起担ぎの「冨貴長春」の銘があります。

立ち上がりは丸みがあり柔らかく、縁は輪花となっており、金彩で縁取られています。

比較的色数の絞られた絵付けと、白・青・金の色の組み合わせからか、品の良い雰囲気の小皿です。

描かれた2羽の鶉は表情がどこかコミカルで、可愛らしさがあります。

ところでこの鶉たち、1羽は金彩と赤絵の羽を広げて伸び上がった姿、もう1羽は紫で黒い斑点の丸い大人しい姿で描かれています。

鶏の場合のように、華やかな方が雄、落ち着いている方が雌なのでしょうか。

調べてみたところ、ニホンウズラの雄は胸に赤毛があり、雌は雄よりも斑点が黒っぽくはっきりしている、とのこと。

お品に戻りますと、そのような描き分けがなされているようにも取れますが、鶉には白羽のものもおり、色違いの表現のための描き分けとも取れ、何とも言えません。

MOA美術館所蔵の「色絵粟鶉文八角鉢」など、異なる色で2羽の鶉が描かれている器は他にも見られ、単にデザイン的な観点から色が分けられたとも考えられます。

「色絵粟鶉文八角鉢 伊万里 柿右衛門様式」
        MOA美術館蔵

鶉の描き分けについて長々と書いてしまいましたが、お品自体は今の時節にぴったりの使いやすそうな小皿で、どの顔の鶉を並べるのか選ぶのも楽しいお品です。

お店は秋のお品替えをいたしました。

こちらの小皿も置いてございます。

秋の装いで皆様の御来店をお待ちしております。