栗図木皿
2020年10月10日
先週までは上着がなくても平気でしたのに、今週になって急に冷え込んできましたね。
お店では窓に掛けていた日差し避けの御簾を外し、明かりが多く入るようになったからか少しすっきりとした印象になりました。
さて本日は秋の木皿をご紹介いたします。
栗図木皿
直径 11.5㎝
高さ 3.3㎝
地に黒漆を塗り、その上に朱漆をたっぷりと刷毛目にし、またその上に意匠化された栗が蒔絵されています。
蒔絵は鬼皮の底部と上部で粒度の異なる金が蒔かれ、質感の違いが表現されています。
よくよく見ると、2つの大きな栗と1つの小さな栗でも異なる金粉が使われており、単調さを避ける工夫が見て取れます。
この木皿の箱には箱書がありません。
あるのは箱蓋に「長野横笛」という黒の落印のみになります。
調べてみますと、長野横笛は江戸後期に京都で活躍した蒔絵師とのこと。
あまり詳細の明らかになっていない職人のようで、本品のように箱に押印のみの作も多いようです。
そのような職人ですので、このお品が横笛の作かは何とも言えませんが、木皿自体が可愛いことには違いありません。
先日、金沢の水本御菓子司にて「梢の月」という今の時期だけの美味しい栗餡のお菓子を求めることがありましたので、合わせてみました。
紅葉や銀杏をかたどった落雁などを乗せても、栗拾いの一場面のようで良いかもしれません。
秋のお菓子選びが楽しくなる木皿です。