吉田秋光「柏に百舌」幅
2020年10月31日
「金美正札会」が明後日に迫ってまいりました。
正札会当日には弊店従業員は会場に常駐しておりますので、御用の方はお気軽にお声がけください。
また、それに伴いまして店舗の方は2日が臨時休業、3日が祝日のため休業となります。
お気をつけください。
本日は秋風吹くお軸をご紹介いたします。
吉田秋光「柏に百舌」幅〈昭和〉
縦 215㎝
横 46㎝
吉田秋光(1887年〜1946年)は明治から昭和初期にかけて活躍した日本画家です。
金沢に生まれ、石川県立工業学校図案科を出、東京美術学校日本画家を卒業しています。
美術学校では、大和絵復興に努めた松岡映丘(1881〜1938年)に師事したとされています。
卒業後は東京で画業を続け、当時の画家番付でも東京の画家として名があり、中堅の画家と見なされていたようです。
大正11年の帝展特選となったのを機にその評価は更に上がりました。
金沢に帰ることはあったのでしょうか、最後は山形の疎開先で亡くなっています。
お品は、先の折れた柏木の枝に百舌が一羽留まっている姿が描かれています。
百舌は秋の間、「高鳴き」といって枝の高いところで激しい鳴き声を上げて、越冬のための縄張り争いをします。
重要文化財に「枯木鳴鵙図」という軸がありますが、百舌はこの高鳴きの場面がよく描かれます。
紅葉も終わり、葉も色を失った柏の枝先で鳴く百舌は、実際の百舌よりも強い目付きをしています。
また、大きく取った余白には冬を前にした秋の冷えた空気が感じられます。
この景色になるにはまだ少し早いですが、最近は華やかなお品の紹介が続いていましたのでこちらを選んでみました。
秋の侘びた景色が上手く切り取られたお軸です。