伊藤勝典 小槌熨斗押
2021年01月09日
金沢はすっかり雪景色です。
久しぶりの厚い降雪を懐かしく思いながら、毎朝雪かきをしております。
本日はまだ松の内、お正月の内ですので、縁起物をご紹介いたします。
伊藤勝典 小槌熨斗押
縦 16.0㎝
横 6.3㎝
高さ 6.2㎝
伊藤勝典は、明治終わりから昭和初期まで生きた金沢の彫金作家で、後年は造幣局にも務めました。
伊藤家は江戸時代から続く彫金の家系です。
勝典も家業を継いで、技術力の高い作品を制作しました。
本品のような小槌は、当時、加賀象嵌の職人によって何点か作られており、こちらもその一つになります。
四分一の灰色の地に金が贅沢に使われた、まさに縁起物の小槌。
そこに施された彫りや赤銅の黒に施された金の象嵌からは、勝典の技術力の高さが伺えます。
ところで先に述べた「松の内」とは、歳神様がお正月飾りに宿っている期間のことを言います。
江戸時代に7日迄の所と15日迄の所とに大きく分かれ、現在は地方により期間が異なるようですが、金沢は15日迄とする所が多いようです。
したがって、お店のお正月飾りもその頃までとなります。
本年はコロナや雪によって、思うように足を運べないお客様も多いと思いますので、お飾りの様子を少しお見せいたします。
当店では毎年、入口に注連飾り、店内に紅鯛(べんだい)と鏡餅を飾っております。
紅鯛は金沢独特の正月飾りです。
柳の枝に餅菓子を付けたもので、繭玉や餅花と似たものになります。
招き猫や鯛が吊るされ、酒樽には「正宗」の文字、可愛らしく面白い飾り物です。
こちらは来週までご覧になれます。
お越しになられる際は足元にお気をつけください。