伊万里 唐子猪口

2021年02月20日

「雪すかし」という言葉を普段何気なく使っておりますが、石川の方言だそうです。

それはさておき、今回の降雪がこの前ほどではなかったこともあるとは思いますが、最初は割とおぼつかなかった街の人々の歩きや、雪すかしの動きが、今回はだいぶ小慣れていたように見えました。

さて、本日は伊万里の器をご紹介いたします。

伊万里 唐子猪口(大正〜昭和)

口径 5.3㎝

高さ 4.4㎝

最初の画像で皆様お気付きになられたでしょうか。

実はこの2つの猪口、大きさが異なります。

名前からは予想しづらいように「猪口」としましたが、右は向付くらい、左は盃くらいの大きさです。

今日では少なくなりましたが、このような揃いの食器を各家庭で持ち、お正月や結婚式など親戚の集まる祝いの席で使用するという文化があります。

身に馴染みのある方と全く知らない方の両方がおられると思います。

九谷の辺りではやきものが盛んな土地柄、そういう家庭が多かったようです。

こういった器が古美術の市場で多く見られるようになったのは、恐らく、自宅で冠婚葬祭を行う家庭や、祝いの席で親戚が長子の家に一堂に会するような場面が減ったことに拠るのではないでしょうか。

本品を見ていきますと、図柄は側面に染付と色絵金彩で唐子と唐草華鬘が描かれ、見込みには染付で菱紋と松竹梅が描かれています。

形はゆるやかな輪花になっており、よくある猪口の形状となっています。

こうして改めて見てみますと、おままごとの道具のような猪口がとても可愛らしいです。

今回、雛祭りに合わせまして、こちらをご紹介いたしました。

只今お店には、猪口の他にも小さくて可愛いお品を多く出しております。

近くにお越しの際は是非お立ち寄りくださいませ。