若杉窯朝顔蓋置
2021年07月16日
あっという間に梅雨明けし、すっかり夏の空になりましたね。
今年の夏も暑くなると言われていますが皆様いかがお過ごしでしょうか。
本日は朝顔のモチーフの洒落た蓋置をご紹介いたします。
若杉窯朝顔蓋置(江戸後期)
幅 6cm
高さ 5cm
若杉窯とは文化8年(1811)に能美郡若杉村(現小松市若杉町)に築窯され、明治8年(1875)まで続いた九谷中興の祖窯です。
もとは藩政時代に十村役を務めた林八兵衛が家業の瓦製造を行っていた窯で、春日山窯に留まっていた肥前島原の本多貞吉を招いて本格的な磁器の窯を築き製陶を始めました。
当時、加賀藩では尾張・肥前からの磁器の移入が多かったことを考慮し産物方役所を設け藩費を投入して保護育成に勤めました。
文化13年から若杉窯は郡奉行の支配下に置かれ「若杉製陶所」と改称され、初めて加賀において磁器を量産化し、加賀藩の殖産興業の柱となりました。
また、天保8年に花坂の新山に陶土が見つかり、この花坂陶石は今も九谷焼の素地作りのために使用される重要な原料となっています。
若杉窯からは佐野窯の斎田伊三郎、小野窯の藪六右衛門、蓮代寺窯の粟生屋源右衛門、寺井の九谷庄三など多くの陶工を輩出しました。
作品には大徳利や茶道具も作られ、いろいろな作風の色絵磁器が見られます。
小松市立博物館『若杉窯名陶展』1972年発行
No.33掲載
花形に色絵で蔓を伸ばした朝顔の姿が上部と側面に描かれています。
朝顔というとよく描かれるのが花を正面から見た丸い絵が多いですが、こちらは側面のみで正面からの花の絵がありません。
蓋置を真上から見ると正面から見た朝顔の形をしているためにあえて描かなかったでしょうか。
ほんのりと水色がかった透明な釉薬が涼しげで夏の暑い日に日陰にただ飾っておくだけでも少し涼を感じられそうです。
店の庭の木槿が咲いたので入れてみました。
来週は祝日のため7月22日(木)〜25日(日)店舗を休業といたします。
お間違えのないようお気をつけくださいませ。