初代中村秋塘 砡質手盃
2015年10月03日
朱色の地に透けているかのような白で描かれた文様、今回はまるで玉石でできているかのような盃をご紹介いたします。
口径 5.0cm、底径 3.0cm、高さ 3.5cm
<初代中村秋塘>
慶応元年~昭和3年(1865~1928)
大聖寺生まれ。幼少の頃から父より陶画の手ほどきを受け、後に竹内吟秋に師事し陶画を学び、八郎風の赤絵細描を得意としました。
海外の各種博覧会に出品入賞し、大正6年(1917)に自邸に窯を築き作陶、繊細で雅味のある作風を確立して石川県より実業功労者として表彰されました。
砡質手は大正2年(1913)に秋塘が考案しました。しかし現在にはその技法は伝えられていないそうです。土も今とは違うものが使用されています。
九谷焼の作家の山本浩二さん、秀平さんがお店にいらしたときに砡質手についてすこし教えてくださいました。
まず赤絵具を薄めたものを下地として全体に塗ります。同じ絵具でも延ばしてさらに薄くしているので赤ではなく朱や桃色に見えます。ムラのないよう均一に塗る作業もかなりの技術がいるそうです。
白の絵具(白盛)で文様を描き、さらに一部には白盛を細く削り下地の赤を残し文様として見せています。
見込みにも様々な模様があります。
月もきれいなこの時期、月見酒のお供にいかがでしょうか